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    風がつめたい日、風があったかい日、風の存在を強く感じる日には、
    もしかして、決まって安房直子さんの本を鞄に入れているかもしれません。

    今日は『まほうをかけられた舌』の中の「ライラック通りのぼうし屋」が読みたくなったのです。
    羊の毛で作ったむっくりのトルコ帽、 まさに、今朝すれ違ったおじいさんのかぶっていた
    帽子そのものだったから!

    はるたろうが小声で「ママ、あれは帽子?それともすごいかつら?」
    といったのには笑いがとまりませんでした。



    つい先日『初雪のふる日』を、子どもたちに読みました。
    こころがすっとさらわれてしまう、とはこのこと。
    声をだして読んでいるほうも、ものがたりの中のうさぎたちのリズムに合わせて、ぐんぐん、
    びゅんびゅん、走り出してしまいなんだか怖くなりました。

    おばけの本もそうですが、おはなしの中で怖さを体験する、という機会が好きです。
    怖い世界から連れ出してあげるのは、読み手である私、だからかもしれません。
    読後になんとなーく、「おかえり」と手を握ってあげたくなるのです。

    空を見ると、雪が落ちてきそう。
    今年の初雪はいつなのかな。

    雪国で育った母は、雪がやってくる前のにおいがわかるそう。
     



    クリスマスを待つ間、今年もトペリウスのおはなしを読みました。
    『星のひとみ』(岩波少年文庫)。
    タイトルにもなっているこの物語は、クリスマスの前夜からおはなしがはじまります。
    トナカイの皮で体をぐるぐる巻きにされた小さな子どもが、身動きできず、ただ雪山に
    横たわり、星を眺める夜空のことを、毎年この時期に思い描くのが好きなのです。

    そして、もう一冊は『雪のひとひら』(新潮文庫)。
    星のひとみが見上げた空から落ちてくる雪……今度は、その小さな小さなひとひらの雪
    に思いを馳せて、静かに開いては閉じ…という日々でした。

    いよいよサンタクロースがやってくる、ということで、子どもたちはそわそわ。
    「さて問題です。サンタクロースはどこからやってくるでしょうか。」
    「知ってるよ。フィンランドでしょう?」

    国旗博士の娘は、フィンランドの国旗=サンタクロースの国、とちゃんと覚えていました。

    それからというもの。
    サンタクロースの国、フィンランドのことがちらちら頭をかすめる毎日でした。
    そして、クリスマスイブに、ちょっと素敵な絵本との出逢いがありました。



    普段なかなか通らない路地に入って、スタスタ歩いていると、目に飛び込んできたのが
    「フィンランドの絵本 10th」の小さな看板。
    CRAFT わ SPACEというお店で開催中の展示でした。
    足がもつれそうになりながら、お店のドアを開き、数々のフィンランド絵本を手に取って
    見ること20分。
    ありました。
    久々の「会いたかったよー」が。

    それが、写真の Muurahainen joka lähti lääkäriin (アリとおいしゃさま)です。
    この物語は、トペリウスの『星のひとみ』 にも収録されていて、ゲラゲラ笑ってしまう
    お話なのです。
    岩波版は丸木俊さんが挿絵を描かれていて、なんとも愛らしい。



    大きなモミの木のしたにあるアリづかから、ちょうど体を出していたアリさん、かわいそうに
    小さな氷のかけらが落ちてきて足がちょきん!
    そのくだりが、たまらなく好きで、何度も何度も読んでしまいます。

    「ただね、ぼくのあしが、とれちゃっただけだよ。」

    トペリウスの作品の中に登場する、心を持った自然の生き物が、とても好きです。
    私も子どもの頃、言葉を持たないモノに興味を持ち、自分が眠っている間にぜったいに
    動き出したり話し始めたりしているんだ、と信じていたことを思い出します。
    そして、きっと、今でもそんなふうに思っている、大人の体の中の小さな子どもに
    時々出会うことがあります。

    サンタクロースを信じていた頃のことを、このトペリウスのお話を読むことで
    また思い出し、子どもたちの期待をもっともっと膨らませてあげたい、と
    願ってあれこれ忙しく走りまわったクリスマスイブでした。

    そろそろ日付が変わり、サンタクロースが窓をたたく頃です。

    フィンランド語で書かれたこの絵本をもう一度包んで、ツリーの下に置いておこうかな。
    明日の朝、子どもたちびっくりするでしょう。
    「ママのところにも、来たんだね!サンタクロース」って。

     

     

    まちにまったクリスマス。ではなく、クリスマスまであといっしゅうかん。
    私たちpipioは、ほんとうのクリスマスと同じくらい、この日を待ち望んでいました。



    カーンと晴れ上がった朝。
    7Fの窓からは富士山が!子どもたちといっしょに「おおーっ」。そしてきちんと着席。
    まず、『サンタおじさんのいねむり』 (偕成社)を読みました。

    おはなしのあとは、クリスマス飾りをみんなでつくります。



    ごそごそごそ。
    たくさん用意した三角形の紙に、色づけしたり、紙を切って貼ったり…。
    はさみ使いものりづけも、みんなお手のものでした。



    ひとつひとつの▽やかわいい形を糸でつなげて、お部屋をぐるりと囲むように飾りました。
    明るい陽ざしのはいるお部屋 が、にぎやかであったかいクリスマスのお部屋に。



    私たちも、サンタとトナカイに変身し、ひとつひとつの飾りをみんなに紹介しました。
    「サンタがいる!わしと同じ顔じゃないか」とサンタ。
    「パクパクパク」(にんじんを食べている)トナカイ(!)
    おはなしを作りながら、 お部屋をひとまわり。
    「きらきらしたものがたくさん。これをつくってくれたのはだあれ?」
    「はいっ!」と元気いっぱいの声。
    「はぁい」とはにかむように手をあげる子。

    みんな、おかあさんやおとうさんといっしょに、上手に作っていました。
    結構好きなのよねー、と没頭するおかあさんもちらほら。

    今日は、絵本作家のせなけいこさんがあそびに来てくれていました!
    それぞれのテーブルに腰をおろし、子どもたちの作る様子を眺めていらしたり、
    ほわほわの赤ちゃんたちと戯れていらしたり。



    せなさんは、子どもたちが切ったあとの紙きれで、なにやらちょきちょきちょき。



    ごみばこに、あたらしいおばけが増えていました!

    このあと、「あわてんぼうのサンタクロース」を歌い、
    『エリーちゃんのクリスマス』(福音館書店)のおはなしを読み、
    あっという間にお別れの時間。

    また、みんなに会いたいです。
    また、みんなとおはなしを読んで、モノづくりをし、あそびたいです。
    そしてまた、ちいさい赤ちゃん、子どもたち、おとうさん・おかあさん、おばあちゃん
    やおじいちゃんの笑い声が聞こえるお部屋で、私たちも過ごしたいです。

    またね、と、メリークリスマス、の気持ちをこめて、みんなにプレゼント。



    pipio クリスマスサブレ。

    写真にはおさめきれなかった瞬間がたくさんあります。
    でもわたし、みんなの色々な表情を、たくさん思い出すことができます。
    絵本をじいっと聞いている顔。
    手を動かしているときの顔。
    となりにおかあさんがいる安心した顔。
    できたっ!の顔。
    できなーい、の顔。
    歌っている時の顔。
    5番の歌詞なんだっけー、の顔。
    大きな声で「メリークリスマス☆」の顔は、本当のクリスマスにまた少し近づいた喜びの顔。

    ありがとうね。

    きっとみんなのところに、サンタクロースがやってきますように。



     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     



     

    子どもが生まれてから、子どもたちの誕生日が、1年のなかでいちばん愛おしいものになりました。
    晴太郎の誕生日が終わる前に、ちょっと書いておこう。
    昨日の夜から、今日が終わるまで、どんなことを思って母が過ごしたのかを。

    4年前の12月6日の空は、今まで見た空の色のなかで、たぶんいちばん青かったことを思い出します。
    産声を朝聞いて、少し休んでから窓を開けて見た空の色。
    びっくりするくらい澄みわたっていた空に、ふわっと赤ちゃんの名前が浮かんだように見えました。

    晴太郎。
    はるたろう。

    うん。いい。

    子どもが元気に生まれてくることは、親が受け取る最初の、最高の贈り物だと思います。
    そして、その子どもへ、親が贈る最初の贈り物は「名前」なのかな、と思います。
    今まで繋がっていたへその緒を切るとき、外の世界への繋がりが生まれてしまう。
    いよいよ一人、になる。
    期待と不安を持つのは親の方で、何度も何度も子どもの名前を呼んで、
    確かめたくなるのです。
    自分たちが贈った名前を呼ぶことで、親としての自覚が生まれてくるような気もします。

    お誕生日の日に、ケーキやプレゼントに囲まれた晴太郎を見ながら、
    心をこめて子どもの名前を呼ぶことができる今この瞬間と、
    それにニッコリ返事をしてくれる子どもが目の前にいる現実に、
    なんともいえない幸せを感じてしまいました。

    誕生日おめでとう、だけど、
    誕生日、ありがとう。
    晴太郎、って名前を呼ぶたびに、だんだん、どんどんお母さんになります。

     

     

     



    雨あがったなぁ…と、娘のピアノ教室への足どりが軽くなったのに、
    ばったり足が止まってしまいました。

    「佐野洋子の本屋」
    本が買えて、絵が見られる、小さな展覧会

    心がざわざわざわっ。
    ちょうど1年前の、佐野洋子さんの訃報を聞いたときとなんだか似ていました。
    でも今回は、もっと弾んだ ざわっざわっざわっ。

    3日に1度変わるという、原画の展示。
    今日はなんと「ねこ展」でした。
    『100万回生きたねこ』 は、生きている間に100万回読みたいくらい。
    『さかな1ぴき なまのまま』 もいい味だしてる。
    わあ、小さなギャラリーの上から下まで、ねこ、ネコ、猫、でした。



    家に帰って読んだのは、『わたし クリスマスツリー』。
    うちのクリスマスツリーも、今日やっと完成したから。
    「わたし、クリスマスツリーになるためにうまれてきたの」と、一途に夢を追うモミの木の物語。
    夢のある方向へまっしぐらに走る姿、真剣に夢を見るからこそ湧き出る涙、
    寒い日に読むと、からだの芯があたたかくなるようなお話で、とてもとても好きです。

    ああ、なんて素敵な再会の一日。
    佐野洋子さんにばったり、そしてやっぱり叶わないな、と思う。

    ねこをたくさん見ました。
    ちょうどpipioのあそび担当・平澤朋子さん参加の展示も今日からで、
    そのタイトルは「ねこのねごと」


    ねこづくし!

    …とここまで書いて 、不思議な出来事を思い出しました。
    かわいそうに、道端で動かなくなっていたねこに2日つづけて会いました。
    1匹は眼がカッと開いていて、死んでいるとは思えないほど凛々しくて、
    つい見とれてしまったほど。
    もう1匹は、流れ出た血を愛しそうに舐めていたねこの傍らで、固くなっていた白いねこ。
    恋人だったのか、兄弟だったのか、親だったのか、何日たっても子どもたちと
    あの2匹のねこの話ばかりしていたのでした。

    12月はねこではじまりました。
    きっと何かある。そんな予感です。

     




    この本が鞄に入っていると、スキップしたくなります。
    大人がひとりでスキップするのは恥ずかしいので、子どもたちに「ねえ、スキップしよう」と声かけると、
    「スキップ、と、おスキップ どっちがただしい?」

    きた。
    最近はやりの「どっちがただしい」攻撃。
    決まって私の答えは「どっちもただしい。きっと。でもこの場合は、スキップかな。」
    弁当よりお弁当。洋服よりお洋服。
    でも、お水筒ではなく水筒。おスキップではなくスキップ。

    日本語っておもしろい。

    長谷川摂子さんの絵本を読むと、行ったことがないけれどどこか懐かしい風景や、
    会ったことがないけれど手を伸ばしてみたい誰かや何かが、くっきりと現れます。
    『めっきらもっきらどおんどん』の歌をたった一度聞いただけなのに、
    子どもたちはまるでひとつの呪文を覚えたように、いっしょに歌ってくれます。
    もっともっと長谷川さんの本に出合いたかったです。

    『とんぼの目玉』(未來社)のあとがきに、こんなことが書いてあります。

    私はどうやら「言葉」を喰って生きる奇獣の生まれ変わりらしい。 (中略)
    私の語りの一言一言にらんらんと目を輝かせて聞いている子どもたち。
    あの眼、あの姿勢、ほんとうにこちらが喰われそうでした。ああ、こいつらも
    言葉喰い怪獣だ、としみじみ思ったしだいです。

    大人が話すことばに、パッと喰いついてくる子どもたち。
    空想の中から生まれる生き物に、へんてこな名前をつける子どもたち。
    そんな子どもたちと、言葉を交わす幸せと愉しみが私を生かしてくれているように
    思えてなりません。

    長谷川さんは、こんど何に生まれ変わるのかしら。


    ポカポカ陽気の日曜日、11時。
    代々木公園の噴水近くに、ちいさなおうちを建てました。
    なにで建てたか、というと… 20本のなわ!
    もうすぐオランダから日本に上陸する、stocsという知育玩具です。


    子どもたちのちいさな手、ちいさな指でも、なわを結ぶ力はいっぱい。
    それを見ていたら、「結んでいく」「つないでいく」ことで、夢の形ができあがるんだと、
    じーんとしてしまいました。
    ひとりひとりがぎゅうっと結んで、立派なおうちが建ちました。


    つづいて、あおぞらおえかきタイム。
    絵の具は、あか、あお、きいろ、しろ、この4色から新しい色を作りだす名人がたくさん。
    筆も、はけも、手も、足も、落ちている木の枝も、すべてがおえかき道具に早変わりなのです。


    葉っぱから生まれた、モンスターたちもあちらこちらに。

    最後に絵本を読みました。

    『どうぞのいす』(ひさかたチャイルド)と『ちいさなお城』の2冊。
    秋にぴったりの1冊と、今日おうちが建ったときにみんなで「お城、お城!」と
    おおよろこびだったので、 『ちいさなお城』を読みました。
    『てぶくろ』の作者、ラチョフのお話で、ちいさなお城=おひゃくしょうさんの
    落としたつぼに、 つぎつぎと虫や動物がたずねてくるのです。


    おうちと、おえかきと、おはなし。
    pipioのプレ企画は、たくさんの笑顔といっしょうけんめいな「いい顔」に包まれて
    すっかりあたたかくなりました。